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正しい判断を支える仕組みと企業の在り方

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こんにちは。Soichiroで戦略を担当している松尾です。
当社には、社員のワーケーションを後押ししてくれる制度があり、せっかくなので活用しようと、春休みに旅行を予定していました。
ところが出発の前々日の夜、あろうことか…いや、むしろ「あるある」かもしれませんが、子どもが発熱。前日には熱が下がったものの、咳が残っていたため受診したところ、第5類感染症との診断でした。
旅行は中止に。仕方のない判断ではありますが、「直前キャンセル」という現実に、気持ちが少し沈んでしまったのも正直なところです。

安心して「行かない」と決められた理由

マスクしている子供

そんな中で救われたのが、航空会社の対応でした。
今回利用予定だったのは、ANA。
診断書を出発前までに提出すれば、手数料なしで変更または全額返金してもらえる仕組みがあるのです。直前だったため電話でも確認しましたが、ご案内もとても丁寧で、おかげで、「今回は行かない」という判断を、迷いなく選ぶことができました。
>【国内線】体調不良(病気やけが)のため、予定の便へ乗れません。どうしたらいいですか。

同様の取り組みは、JALでも行われているようです。
>国内線|突然の怪我や病気で予約便に搭乗できなくなった場合、取消手数料はかかりますか。

自分たちのことだけを考えた場合、正直に言うと、無理をすれば行けたかもしれません。でも、その選択をしなくてよかったと思っています。「正直に判断しても大丈夫」と思えること。それが、こうした仕組みのいちばんの価値なのかもしれません。

キャンセル対応の狙い

客室風景

では、なぜANAやJALは、このような対応ができるのでしょうか。

まず一つは、感染拡大のリスクを抑えるためです。
機内という密閉された環境では、一人の無理な搭乗が全体のリスクにつながる可能性があります。最悪の場合、運航停止にもなりかねません。キャンセルを受け入れること自体が、安全を守るための仕組みになっています。

また、「正直に申告しても損をしない制度」によって、無理をして搭乗する人を減らす意図もあります。これは単なるサービスというより、「正しい行動を選びやすくする設計」と言えます。

さらに、こうした対応はブランド力にもつながります。「安心して予約できる「何かあっても対応してくれる」その積み重ねが、次の利用につながります。リピート率や信頼の向上、口コミにもつながっていきます。(この記事もその一つかもしれません。)

短期的には返金という損失が発生しますが、長期的には顧客との関係性を深め、結果として離脱防止やブランド価値の向上につながります

中小企業にとってのキャンセル対応の現実と判断の難しさ

一方で、こうした判断ができるのは、大企業としての規模や構造があるからこそ、という側面は否めません。同様の対応をそのまま中小企業に当てはめるのは、簡単なことではないでしょう。

中小企業にとってキャンセルは、そのまま損失につながります。柔軟に対応したい気持ちがあっても、それが自社の負担になる。このバランスを取るのは非常に難しいものです。

それでも制度として大きく変えられなくても、「どういう姿勢で向き合うか」は、日々の運用の中で作ることができます
たとえば、やむを得ずキャンセルが発生する場合でも、「またぜひご利用ください」という一言に、その会社らしい言葉を添える。そうした小さな設計や対応こそ、大きく印象を変えるものになります

実は以前にも、子どもの当日発熱で旅行をキャンセルしたことがあります。その際、レンタカーと宿泊施設は100%のキャンセル料が発生しました。やむを得ないと理解しつつも、やはり負担は小さくありませんでした。

後日その宿から、丁寧なお手紙とともに、名産のアジの開きをたくさん送っていただきました。この出来事は、今でも強く印象に残っており、いつか必ず宿のご夫婦に会いに行きたいと思っています。

名産のアジの開き

大量のアジは非常に大きなインパクトを残しましたが、ここまでせずともほんの少しの心遣いが、その後の印象を大きく変えることもあります。何ができるかを考え続けることが、結果として選ばれる理由につながっていくのかもしれません

正しい判断を支える仕組みという視点

握手

今回の経験を通して感じたのは、「正直に行動した人が損をしない仕組み」であることの大切さです。

お客様との関係においても、社内のルールにおいても、まじめにやっている人が損をするような仕組みでは、安心して判断することはできません。

だからこそ、誰が見ても納得できる判断基準を持つこと。その前提があってはじめて、人は迷わず「正しい選択」をできるのだと思います。

キャンセルという場面こそ、その会社の姿勢が自然と伝わる瞬間なのかもしれません。 日頃から「どんな判断を大切にするのか」「どのようにお客様と向き合うのか」を、社内で共有しておくなどの積み重ねが、結果として信頼につながっていくのではないでしょうか。

そして同時に、こうした仕組みは、企業の姿勢だけでなく使う側の意識によっても支えられているものだと思います。私たちが消費者としてサービスを利用する立場にあるときも、制度に甘えるのではなく、「正しく使う」ことを大切にしたいものです。

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