【第1回】自社ブランディング|コーポレートメッセージの作成虎の巻
こんにちは!マツシマです。
デジタルマーケティング会社である弊社はこの度、Webマーケティングの枠にとどまらずブランディング支援を実施していくことになりました。
そこで「まずは自社ブランディングとしてコーポレートメッセージを作成しよう!」という企画を立ち上げましたので、ブランディングの概要やコーポレートメッセージの作成方法について複数回に渡ってご紹介していきたいと思います。
自社ブランディングでお悩みの企業さまはぜひ参考にしてみてください!
自社ブランディング|コーポレートメッセージの作成虎の巻 |
ブランディングとは?
ブランディングとは、ステークホルダーを含めた社会全体に、自社や自社の商品・サービスを「自社ならではのもの」として認識させ他社と差別化を図る取り組みです。
ブランディングを行うことで他社と差別化できるだけでなく、顧客ロイヤリティーの向上や知名度アップ、価格競争からの脱却などさまざまなメリットがあります。
混同されてしまいがちなマーケティングとの違いは、マーケティングは販売戦略や広告宣伝などの“商品を売るための活動”であるのに対し、ブランディングは自社や商品の価値を高めて、“ターゲットに良いイメージを作るための活動”となります。
コーポレートメッセージ(ブランドメッセージ)とは?
ブランディングの一つに、コーポレートメッセージ(ブランドメッセージ)があります。
コーポレートメッセージとは、企業理念や商品・サービスへの想い、自社のあるべき姿、今後のビジョン、社会や顧客の期待に対しての約束などを一言で表したものです。
「どのような企業でありたいのか?」をコーポレートメッセージとして発信することで、自社の理念が社内外に浸透しやすくなり社会的な信用を高めることができるうえ、商品やサービスに注目が集まりやすくなるというメリットがあります。
例えば、大手外食チェーンストア『吉野家』の場合、安くて美味しい出来立ての牛丼を提供してくれるお店は『吉野家』の他『すき家』や『松屋』などの競合が存在します。そこで、顧客に選ばれる牛丼屋になるためのブランディングおよびコーポレートメッセージが必要になります。吉野家ホールディングスは「うまい、やすい、はやい」というコーポレートメッセージを掲げ、日経BPコンサルティングによる「2006年|企業が発信するメッセージの分かりやすさ」の調査ではランキング1位となりました。
コーポレートメッセージを作成し自社ブランディングを強化することで、自社方針や目指す姿を社内共有し社員のモチベーション向上が期待できます。また、競合の商品・サービスとの差別化や社会的な信用を高めることが可能といわれています。
コーポレートメッセージ作成の手順
コーポレートメッセージの作成は自社の社員と共に、以下4つのステップに従って進めていきます。
①個々人でのブランド提供価値の仮説考察
ブランド提供価値とは、ブランドが顧客に届けている「喜びの度合い」のことです。
ワークシートを使って社員一人ひとりに会社で感動した出来事や自社のパーソナリティ、自社の強みを考察してもらいます。
②初期仮説の共有(エピソード/パーソナリティ)
【①】で社員から集めた自社のパーソナリティや会社の強みを全員で共有していき、過不足が無いか確認し深掘りしていきます。そして「自社の見られたい姿」を固めていきます。
③初期仮説の共有(ターゲット/強み/エッセンス)
【②】で自社の自社のパーソナリティや会社の強み、「自社の見られたい姿」を固めたあと、ブランドターゲットや自社が持つべき強み、ブランドエッセンスを策定していきます。
④ブランドエッセンス規定、全体精緻化
【③】で策定したブランドエッセンスを元にブランドの世界観を凝縮する一言(コーポレートメッセージ)を決定し、ブランド価値提供を精緻化していきます。
実際にコーポレートメッセージを作成してみよう!STEP①②
それでは実際に弊社Soichiroのコーポレートメッセージを作成していきたいと思います。
第1回目の今回は、
を実践していきます。
弊社の概要は以下の通りです。
【Soichiroの概要】 東京都墨田区を拠点にホームページの制作・運用・コンサルティングをしている会社です。3C分析を使ってWebマーケティング戦略を策定し、お客様が「顧客に選ばれる理由」を明らかにしたうえで戦略に則りホームページを制作・運用していきます。 ターゲットは集客できるホームページの制作・運用をお考えの中小企業さまです。 |
STEP①:個々人でのブランド提供価値の仮説考察
「自社エピソード記述シート」ダウンロードはこちら(PDF)上画像のワークシートを使って、社員全員に以下の内容を書き出してもらいます。
- 自社を選んだ理由(なぜ他の企業・業界ではないのか)
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験
- 感動を生み出した源泉
- 会社にとっての意味合い(自社には○○という特徴がある)
書き出した内容を一人ひとり発表し、互いの考えを共有し自社への理解を深めていきます。弊社で挙がった自社エピソードは以下の通りです。
デザイナーAさん
- 自社を選んだ理由 オンライン面接時、リクルートスーツを着て緊張しながらPC前でスタンバイしていたが、社長はファミレスからオンラインで参加していて拍子抜けした。自由な社風を感じた。また、社長から「戦略もできるデザイナーになってほしい」と言われ成長できると感じた。面接時に自社の優位性をアピールする会社が多かったが、Soichiroの面接では「あなたの喜びが自分たちの喜びだよ」と言ってくれたのが印象的だった。
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験 自分が作成した作図が採用され、Webサイトに実装された時に感動した。作図作成時に「どうやったら分かりやすく伝えられるだろう?」と試行をし、社内でアドバイスをもらいながらブラッシュアップした経緯もあり、作図が採用されたブログの検索順位が伸びたことがとても嬉しかった。
- 感動を生み出した源泉 作図作成時に「どうやったら伝わるか?」と思考を練ったことがやりがいだった。途中行き詰まってしまい苦しかったこともあったが、社員の先輩が助けてくれて諦めずに作図を完成することが出来、成長できたと感じた。
- 会社にとっての意味合い Soichiroはクライアントとの関わりが深い。社長はクライアントとよく食事に行って、私たちに話を共有してくれる。忘年会をクライアントの飲食店で開催したこともある。お互いに相談しやすい社風がそのまま、対クライアントへの対応として現れているのではないか。
デザイナーBさん
- 自社を選んだ理由 プログラミングを経験したくて志望したが、コンサルティングやマーケティングも経験できると知って魅力的だと思った。
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験 Webサイト構築作業が効率的に出来るようになり、作業時間がスピーディーになってきた実感があると感動する。実際に検索順位を上げることが出来た時に、結果が目に見えて感動した。また、クライアントからの細かい要望に対応した時に「いつもありがとう。助かってます。」とのお言葉をいただき感動した。
- 感動を生み出した源泉 先輩エンジニアの技術や実装した内容を見て自分で研究・習得し、実務に活かせた時が感動した。自力で考えて解決していくことの面白さを実感した。また、クライアントからの要望を丁寧に伺い「本当はこうしたい」という潜在ニーズを引き出し、当初のご要望以上の提案ができた時に喜んでもらえた。
- 会社にとっての意味合い 自ら考え解決していく姿勢。また、クライアントからの要望をじっくり深掘りして、潜在ニーズまで探って提案できることがSoichiroの特徴だと思う。
デザイナー・ディレクターCさん
- 自社を選んだ理由 デザイン以外にも戦略調査の仕事ができるのは楽しそうだと感じた。情報をまとめるのが得意な自分を活かせると思った。また、モーショングラフィックが得意なので、Webサイトのサイトの見た目や操作性を追求するときにスキルを活かせると思った。
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験 初のディレクション業務を担当したクライアントからとても丁寧なお礼のメールが届いた。プレゼン当日は震えるほど緊張したが、社内の先輩がサポートしてくれたこともあってクライアントに伝わったことが嬉しかった。
- 感動を生み出した源泉 社長や先輩が相談に乗ってくれたことがとても心強く、ディレクションに挑戦することができた。
- 会社にとっての意味合い 社内にはお互い相談しやすい環境があり、協力してくれる外注さんも多い。みんなで一丸となって一つのものを作り上げることができる。お互いに相談しやすい社風がクライアントへの対応として現れ、お客様にとっても相談しやすいんじゃないか。
デザイナー・ディレクターDさん
- 自社を選んだ理由 「デザイン重視ではなく戦略ができる人を採用します」という求人票に惹かれた。 他社のデザイナーとしてインターンを経験したが、社風はトップダウン構造だった。面接時に社員の一人が焼き鳥を頬張りながらPCに向かって作業している姿を見て、細かなルールに縛られず成果を重視するSoichiroの自由な社風を感じて魅力的だと思った。面接時に新入社員としてではなく、個人として話を聞いてくれた。
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験 この仕事をしなければ触れることが無かった業界を知ることができ、年々世の中を見るときの解像度が上がっていると感じている。社会に貢献しようという理念やポリシーを持ったクライアントとの出会いは毎度感動する。
- 感動を生み出した源泉 Soichiroに入らなかったら出会えなかった人たちや業界との出会い。様々な業種の代表者と直接お話ができ、みなさんの想いを共有してもらえる感動がある。
- 会社にとっての意味合い クライアントに事業や業界を教えてもらいながら、顧客目線でWebサイトを構築できることが強みだと思う。私たちは一般ユーザーの視点を持ったWebサイトのプロであると思う。
エンジニアEさん
- 自社を選んだ理由 もともと外注としてSoichiroと仕事をしていたが、私生活の変化を機に社長から「社員になりませんか?」と誘ってもらった。同時期にもっと給料の良い会社からも打診を受けていたが、社長の人柄が良かった。
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験 社長からお歳暮などが未だに届くことに感動していている。社員への対応がそのままクライアントへのおもてなしの対応になっているのではないか。
- 感動を生み出した源泉 Web制作会社の中には機械的に案件をこなす会社も多い。例えば、「案件事項に含まれない業務はやらない」といって、本当はより良い施策があるにも関わらず提案しないところもある。Soichiroは出し惜しみせず、人の心を大切にした関わり方でクライアントに対応する。
- 会社にとっての意味合い クライアントであっても社員であっても、相手の気持ちを慮る配慮や人との縁を大切にするおもてなしの心がある。その配慮から、クライアントからの要望+αで提案できるところが特徴
ディレクターFさん
- 自社を選んだ理由 16年勤めた化粧品PR会社から初めてWeb業界へ。「何か新しいことをやってみたい。得意なカメラ撮影や前職でのキャッチコピーライターの経験が活かせるかも」と思った。年齢的に新しいことに挑戦するのは勇気がいったが、面接時に社長が「是非たくさん勉強してほしい」と言ってくれたことや、言葉を選びながら喋ってくれたことに誠実さを感じ、他社での採用を蹴ってSoichiroに即決した。
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験 守りに入らず次々と新たなことに挑戦し、ブラッシュアップしてクライアントに提案していく姿勢など、社長の決断力と行動力には毎度感動する。
- 感動を生み出した源泉 この仕事を通じてチャレンジすることの楽しさを実感している。新しいフレームワークやWebツールを次々に取り入れ自分たちのものにしていき、クライアントにより良い提案ができることが楽しい。
- 会社にとっての意味合い 自社には怖いもの知らずという特徴がある。必要性を感じたり、自分たちが本当に良いと信じたものをどんどん取り入れていく力、実践・改善を繰り返してより良いものに仕上げて提供する力がある。固定概念を壊して挑戦しつづけることがSoichiroの特徴である。
ディレクターGさん
- 自社を選んだ理由 社長とは大学時代の知り合いで彼の実直な人柄は知っていた。当時は残業100時間のブラック企業に勤めており殺伐とした社内環境で仕事に終われていたが、結婚を機に左遷されて辞職することに。その際、社長から声をかけてもらいSoichiroに入社した。
- 自社で働いてきた中で最も感動した経験 仕事を通じて普通に生活していたら知り得ない商品・サービスを知ることができ、“世の中再発見”の感動がある。
- 感動を生み出した源泉 企業のさまざまな想いで生み出された商品・サービスを知ることにより、世界が輝いて見える感動があり、世の中がとてもあたたかいものに思える。
- 会社にとっての意味合い 弊社が作成した戦略をクライアントに見せたときに「ありがとう。楽しかった。」と言っていただけた。業界に慣れ親しんだクライアントにとっては、自社の可能性や強みなどの再発見があり、占いを見るワクワク感があるのではないか。
STEP②:初期仮説の共有(エピソード/パーソナリティ)
エピソードの共有
社員がお互いのパーソナリティを共有し自社エピソードを発表することで、弊社の場合、社長の仕事に対する姿勢や人柄に社員全員がシンパシーを感じていることが分かりました。
そこで改めて、自分たちが社長に共感している仕事に対する姿勢や特徴を箇条書きにして可視化していきます。
【Soichiroの仕事に対する姿勢・特徴】
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ブランドパーソナリティの共有
自社の仕事に対する姿勢が固まってきたところで、コーポレートメッセージ作成に不可欠な「自社の見られたい姿」を検討していきます。
「自社ブランドパーソナリティ記述シート」ダウンロードはこちら(PDF)上画像のワークシートを使って、自社を象徴するイメージやステークホルダーから「見られたい姿」および「見られたくない姿」を一人ひとり書き出してもらい、書き出した内容を発表し合って互いの考えを共有します。弊社の場合は、「見られたい姿」「見られたくない姿」を芸能人や動物に例えて抽出していきました。
自社イメージは以下の通りです。
【見られたい姿】
- ワシ(雄大さ)
- シロナガスクジラ(どっしり・ゆったり余裕のある、コミュニケーションをしっかり取る。)
- 馬(目的地まで走るには馬の脚も、上に乗る騎手の指示も必要。クライアントと共に作り上げていく。)
- イチロー、 メイウェザー(やった感は出さない。努力・結果を背中で語るイメージ。)
- ゴールデンリトリバー(誠実さ。)
- インタビュアー(誠実、聞き上手、どっしりした、頼りがいがある、優しそう。)
- BUMP OF CHICKEN| 藤原基央(押し付けがましくなく、寄り添う姿勢。)
- フィギュアスケート| 羽生結弦選手(奢らずに挑戦し続ける。)
- 元V6| 井ノ原快彦(偉そうじゃなく、人望がある。)
- 元ジャニーズ事務所副社長| 滝沢秀明(信頼が厚い、やり切る。)
【見られたくない姿】
- キツネ(取り憑く、騙す。)
- ヘビ(巻き付く、吸い取る。)
- うさぎ(小さな会社だからといって弱そうな印象は与えたくない。)
- IT系イキる人(横文字をドヤ顔で使う。)
- ポメラニアン(キャンキャン吠えてうるさい。)
- 元NEWS| 手越祐也(チャラい。)
自社がステークホルダーから「見られたい姿」「見られたくない姿」を動物や芸能人に例えることで、より自社のパーソナリティが明確になり社内での共通イメージが固まりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。自社ブランディング第1回目の今回は、ブランディングの概要やコーポレートメッセージ作成の手順、STEP①②を実践した様子をご紹介しました。
実践を通じて私たちSoichiroが大切にしていることや共通意識が理解でき、改めて今の仕事に誇りを感じると共に、クライアントへの想いがより明確になったと実感しています。
次回より、「自社の見られたい姿」からSTEP③のブランドターゲットや自社が持つべき強み、ブランドエッセンスの策定していきたいと思いますのでお楽しみに!
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