赤十字とヘルプマークとデザイン
こんにちは!サイトウです。 デザイナーに限らず、何かを制作するときに必ず気をつけなければならない項目がいくつかあります。 例えばデザインの面だと、制作物によってカラーコードが決まっていて、それに合わせて色を設定をしたり…フォントの決まりがあったり…など、いろいろあります。
今回はその中でも、最もデザイナーが気をつけなければいけないことの一つ、「赤十字マーク」についてお話させていただきます。
とあるミュージシャンのグッズが話題に
10月某日、日本の大人気ミュージシャン「椎名林檎」さんが新しいアルバムを発表し、その特典であるグッズが物議を醸しています。
それがこちら。
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— TBS NEWS DIG Powered by JNN (@tbsnewsdig) October 18, 2022
椎名林檎さん 物議の“ヘルプマーク・赤十字マーク似” 特典グッズ デザイン改訂 及び 発売延期を公表「法令の確認を含めた各種チェックが不十分であった」
\https://t.co/QLaEFOUI4J
UNIVERSAL MUSIC JAPANの公式サイトが特典グッズのデザイン改訂、及び、発売延期を公表。#newsdig #tbsnewsdig pic.twitter.com/nPdQnGckbL
赤い背景にリンゴと十字のマーク。 あの「ヘルプマーク」に酷似しているとSNSでの指摘が後をたたないのです。
ヘルプマークは、見た目では分かりづらい障害などを抱えている人たちが、援助や配慮を必要としていることを周囲に知らせるために身につけるもの。 それと酷似しているアイテムが世に出回ることによって、本当に援助を必要としている人への誤解を招いたりする恐れがある懸念の声が上がっています。
また、もう一つ大きな問題があります。それがこちらのグッズです。
特典グッズ、ヘルプマークっぽいのもアウトに近いと思うんだけど、マスクケースも赤十字だからだめじゃないのかなぁ? pic.twitter.com/TH1pMZPzTj
— Chihaya (@chihamag) October 8, 2022
マスクケースで、上に赤十字をあしらったデザイン。 この赤十字は、デザインに限らず全ての創作物において使用することが禁止されています。
そもそも赤十字マークって?
赤十字マークは、戦争や紛争などで傷ついた人びとと、その人たちを救護する軍の衛生部隊や赤十字の救護員・施設等を保護するためのマークです。 紛争地域等で「赤十字マーク」を掲げている病院や救護員などには、絶対に攻撃を加えてはならないと国際法や国内法で厳格に定められています。つまり、赤十字マークは、いざという時にわれわれ国民一人ひとりを守るマークなのです。
引用:日本赤十字社
赤十字マークは、ただの赤い十字のマークなどではなく、紛争時に命を守る役割が込められており、これはジュネーヴ公約という公約で定められている立派な決まり事です。
こないだ弟に教えてもらったやつ
— ムナカタ (@munakata301) June 23, 2021
クリエイターの方々はちょいと見てほしい pic.twitter.com/A3zfGsXy4m
また、十字の色や背景の色が少し薄かったり濃かったり、十字が傾いていたり、少し類似しているデザインも認められていません。
これらの決まりがある以上、赤十字マークをデザインで使用することは絶対にしてはいけないこととデザイナーは認識しなくてはなりません。 ですが今回、有名なミュージシャンのグッズに使用されてしまったことで、大きな騒ぎになってしまったのです。
大きな話題に
こうしたことから、SNSではさまざまな声が上がっています。
ヘルプマーク、通勤カバンに付けてるけどさっきコンビニで栄養ドリンク買って飲んでたら「そのタグどこで買ったグッズですか?」「まだ販売前ですよね?」など矢継ぎ早に言われたので、「?」となってた。椎名林檎さんのグッズと思われたらしく…。事情説明したらわかってくれたぽいけど、模倣(?)
— 綺音 (@ayadead_) October 17, 2022
椎名林檎のグッズのおかげで
— ニョロニョロ (@nyoronyororinco) October 11, 2022
ヘルプマークをつけて
買い物に行くと
若い子に指を刺されて
「Twitterでみたグッズやん」
と笑われたんだが
パニック障害者にとって
これがどんなに怖いことなのか
わかんないんだろうな
しかもヘルプマークが認知されたのは「椎名林檎がグッズに使ったから」ではなく「当事者たちが声を上げたから」だしね。
— もぬけのから (@holewholew) October 17, 2022
その声が無かったら、今でもテイの良い素材扱いされて消費されていただろう。
こちらはマスクケースではなくヘルプマークの件ですが、実際にヘルプマークを使用している人で周囲の人に誤解されてしまった方もいて、既に実害が出ています。
まとめ
発売元は、既にデザインを改訂し発売を延期すると発表していますが、一度広がってしまった波紋はなかなか収まりません。 デザイナーとして、クリエイターとして、必ず頭においておかなければならない「赤十字マーク」。
またヘルプマークなど、「本当に必要としている人」に対して誤解や混乱を招くデザインも良いデザインとは言えません。 今一度意味を再確認し、理解を深めるべきだと私は思います。
赤十字マークについてもっと詳しく知りたい方こちら
「知っていますか? このマークの本当の意味」(2018年3月改訂)(PDF:3.9MB)