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近年注目の「サスティナブルファッション」、個人個人の意識を変えて地球に優しいことを実践しよう

7/12に行われた、消費者庁新未来創造戦略本部「ファッションから考えるサステナブルな未来」のセミナーに参加しました。

アパレル業界は石油に次ぎ、2番目に環境を汚染する産業だと言われています。このままでは、未来を生きる子どもたちに「安全・安心な地球」を残すことができません。
地球の存続に関わる大きな問題に対して「アパレル業界に直接関わっていない一般人の私でも、環境のために明日からできることはないのか」を考えるべく参加しました。
3部それぞれのセミナーの内容と、私たちが明日からできる地球への貢献方法についてご紹介します。

環境問題だけではない!ファッション業界の闇

1部のメモ
1部のメモ

1部目は『サスティナブルファッションとは?〜服と自然と社会の繋がり〜』という題目で始まりました。登壇者は、エシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さん。エシカルファッションを広めるべく、様々な取り組みやセミナーに登壇されている方です。

サスティナブルとファッションはどう関わっているのか、その背景を問題点と一緒にご紹介いただきました。

アパレル業界の主な問題アパレル業界の主な問題

問題点1:エネルギーの使用量

  • 合成繊維の洋服を生産するのに「毎年540億ℓの石油」を使用。
  • 新品のコットンTシャツ1枚生産するのに「60キロ運転する際に出る排気ガス」相当の排気ガスが工場から発生している。

合成繊維(ナイロン、プラスチックなど)は石油の成分から物質を取り出し、結合させたもの。したがって、今の繊維産業では石油は必要不可欠なのです。

問題点2:水の使用量

  • Tシャツ一枚に使用する水の量は2,720ℓで「人間が飲む3年分の飲み水」相当の量になる。
  • ファッション業界全体ではオリンピックサイズのプール(約50mx25mx2m)3,200万個の水の量が使われている。

水は、原料の生育に使用したり、染料に使用したり、身近な洗濯だって水を使用しています。

問題点3:生産の増加・消費サイクルの増加

2014年には14億着製造されたと言われています。その背景には、消費者である我々が大量消費・大量廃棄しているからであると考えます。1年に購入する洋服の数が、15年前と比べて60%増えているそうです。
そのニーズに応えるべく、各ブランドが生産量を上げる→それを購入する→売れ残った洋服と数回着ただけの服を廃棄する→なくなったからまた買う、という悪循環が生まれるのです。

問題点4:洗濯時のマイクロファイバーの流出

ポリエステルなどの化学繊維は洗濯する際に多くのマイクロファイバー、約600万個を流出しているそうです。その結果、流れ出たマイクロファイバーを海洋生物が体内に取り込んでしまったり、人間の飲み水に混入する恐れがあります。

問題点5:労働環境

ファッション業界の労働問題でとても有名で悲惨な事故があります。2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊において発生した「ラナプラザ崩壊事故」です。
世界的アパレルブランドを請け負っていた縫製工場のビルが崩壊し、死者1,127人、行方不明者500人、負傷者2500人にものぼる犠牲者を出しました。

ラナプラザ崩壊事故
ラナプラザ崩壊事故
FASION SNAP

そこで問題になったのが、「アパレルブランドの生産背景が見えない」ということでした。
ファッション業界は表ではきらびやかな世界ですが、裏では児童労働が看過されていたり、生産者が悪条件化の中で労働させられていたり、低賃金で働かされていたり…と様々な社会問題が発生しています。

この事件をきっかけに起きた社会現象をいくつかご紹介いただきました。

映画『ザ・トゥルー・コスト〜華やかなファッション業界の裏側 知られざる真実とは?〜』

2015年に公開されたドキュメンタリー映画です。
「ラナプラザ崩壊事故」に胸を痛めた監督が現地に行って、実際の生産者に当時の状況を聞きに取材に行ったり、被害者に悲惨な体験談を聞きに行ったりしているとてもリアルなお話です。悲惨な状況に思わず目を背けてしまうかもしれませんが、近年明らかになった業界の実態をわかりやすく紹介しています。
映画の詳細はこちらから

ファッションレボリューション

こちらも「ラナプラザ崩壊事故」をきっかけに生まれたグローバルキャンペーンです。
毎年世界規模で「#whomademyclothes(私の洋服は誰が作っているの?)」のハッシュタグをSNSで投稿することで、「消費者からブランドへ生産の背景を明確にするよう訴えかける」という意味があります。

私たちが何気なく買って着ている洋服は、「どんな製造過程で生産されているのか」「どんな環境の人、立場の人が縫製しているのか」「この洋服を購入することによってどんな影響があるのか」を考えなければなりません。

安いから、すぐ買い換えられるから、安くいろんな洋服が欲しいから。洋服を購入する際にはいろんな理由があると思います。

1部の講演を聞いて、購入する前に一回立ち止まって「本当に必要なのか?」「どれくらい長く着ることができるのか」を考え、必要な物を必要な分だけ購入することを意識するのが大事だと感じました。

サスティナブルファッションと消費者の選択

2部のメモ
2部のメモ

2部目は『サスティナブルファッションと消費者の選択』という題目でパネルディスカッションが始まりました。
登壇者が4人いますので、登壇者別にお話しいただいたことをまとめます。

環境省中国四国地方環境事務所四国事務所長 酒向 貴子さん

ファッション業界の環境問題についてご紹介いただきました。

2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた行動を消費者に求められています。日本は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会を目指す」ことを宣言しています。
実現するには、生産可能なエネルギーの導入や資源を巡回して使用できるようにすることが大事になってきます。原料調達から製造まで環境負荷をきちんと理解し、気にすることから始めましょうという内容でした。

IKEUCHI ORGANIC(株)代表取締役 池内 計司さん

「IKEUCHI ORGANIC」というブランドの問題への関わり方についてご紹介いただきました。 「IKEUCHI ORGANIC」では、徹底的にタオルの安全を保つとともに、生産過程で環境に負荷がかからない挑戦をされているそうです。
例えば、タオルのパッケージにQRコードが記載されています。そのQRコードを読み込むと、「そのタオルが作られた生産背景や検品・出荷」の情報を確認することができます。情報を提示することによって、生産過程を全て表示させ、「アパレルブランドの生産過程が見えないという業界の闇からの脱却」を挑戦している例かと思われます。

パッケージに記載してあるQRコード
パッケージに記載してあるQRコード
「IKEUCHI ORGANIC」

上勝町ゼロ・ウェイストセンターCEO 大塚 桃奈さん

徳島県上勝町で行なっているゼロ・ウェイストの活動についてご紹介いただきました。

ゴミを減らすために下記の活動をされています。

  • ゴミとして扱われていた洋服を資源に変える(海外輸出など)
  • ゴミとして扱われていた洋服を固形燃料に変える(汚れたものなど)
  • ゴミとして扱われていた洋服を古着で販売する(譲れる状態のものなど)

上記のことをしても2割はゴミとして燃やしてしまうそうですが、なんと8割のゴミの削減に成功したそうです。
生産過程でどんなに環境負荷を無くしても、着られなくなった洋服をどのように回収・分別・リサイクルされるかが重要です。
この活動を通じて生活者全員がゴミに対する意識を変えて、どうすればゴミをゼロにできるのかを考えるきっかけになりたいとおっしゃっていました。

消費者庁新未来創造戦略本部次長 日下部 英紀さん

エシカル消費の取り組みについてご紹介いただきました。

エシカル消費とは、地域や活性化や雇用などを含む、人や社会・環境に配慮した消費行動「倫理的消費(エシカル消費)」のことを言います。
サービスを選択するとき、買い物をするとき、買ったものを使う・処分するときに、下記のことを考えて欲しいと訴えていました。

  • 今だけになっていないか⇒未来・長期的であるか
  • ここだけになっていないか⇒他地域・他国のことを考えられているか
  • 自分だけになっていないか⇒みんなに優しい社会になるかどうか

エシカル消費の第一歩はこれらを考えられるか、実践できるかが鍵になります。
ファッションを楽しむ際に「デザイン」「価格」だけでなく「エシカル」であるかどうかも判断基準に入れて欲しいとお話されていました。

若年層はサスティナブルを意識していない?

『若年層にはサスティナブルな活動は心に響いていない、訴求できていないのではないか』という話を元にパネルディスカッションが行われました。

結論、そんなことない!若年層は環境に配慮した消費をちゃんと考えている!
という意見にまとまりました。

なぜかというと

  • コロナ禍以降(2020年〜)環境問題を意識する人が増えている
    …コロナ禍で人間の経済活動が止まったとき、様々な国で環境の改善が見られました。=「人間が動くと環境が破壊される」というものの裏付けであり、経済活動が制限された今日、いかに長く地球に住めるのかということが再注目されるきっかけになりました。
  • あえてエシカル志考のブランドを買うという傾向がある
    …ファッション業界が石油に次ぐ2番目に環境を汚染する産業だと有名になっている今、未来の子どもたちに安心・安全な地球を残すために、エシカル志考の人やブランドが増えてきています。

消費者庁の「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書(令和2年)」ではこんなデータがありました。

エシカル商品・サービス購入状況【衣料品】
エシカル商品・サービス購入状況【衣料品】
「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書(令和2年)」

全体で見てみると10代〜20代の購入しているという回答が圧倒的に多いんですね。「エシカル消費」を認知されている数がまだまだ少ないこともわかります。
上記の通り、少ない数ではあるものの「エシカル消費」という言葉を認知し、しっかり考え、行動に移している人がいるのがわかりました。私の意見としては、若者も社会の傾向を見て、これからどんどん意識する人が増えていくのではないかと思います。

しかし、若者にとって一番痛いのが「お金がない!」

頭を抱える女性

「参加したくても、エシカルやサスティナブルを軸にしたブランドの洋服って高くてとてもじゃなくても買えない…。」「お金ないからファストファッションでいっぱい洋服買って楽しみたい。」という若者もたくさんいますし、私もその一人です。

若者お金ない問題に関しては、
「限られたお金をどこに払えば幸せに繋がるか」
「ただ物を買えば良いのではなく、共感し考え方に賛同してお金を払う」
という意識が社会全体で伝えられたら良いよねというお話になりました。

個人的にはその結論に関して「かといってお金かかるの洋服だけじゃないし結構厳しいよな〜」と思いましたが、確かに社会全体が大量消費に異議を唱え、改善していければ高い洋服でも環境に不可がないのであれば選択するかもしれません。

セミナーでは、社会全体が変わるには、やっぱり企業が情報を開示し、消費者も情報を知りたいと意思表示することが必要という話でまとまりました。

ロスから考えるサスティナブルファッション

3部のメモ
3部のメモ

3部目は『ロスから考えるサスティナブルファッション』という題目でパネルディスカッションが始まりました。
先ほど登壇された鎌田安里紗さんと大塚桃奈さんと四国大学の学生2名を交え、学生の方々が疑問に思うことや普段サスティナブルに対して考えることを中心に議論が行われました。

企業は情報を隠しているの?

散々「ブランド側が情報を開示しないから消費者が声をあげるべき」だと言ってきましたが、「なぜ企業は頑なに情報を開示しないの?」と思いませんでしたか?
同じように学生も質問されていて、鎌田さんや大塚さんにお答えいただきました。

実は企業側も全ての情報を開示するのは大変な労力とコストがかかります。
例えば全ての生産者の方に会いにいかなければいけないし、写真を撮ってネットで公開したりパンフレットを制作して配ったり…
労力とコストを考えると、腰が重くて実行できないのが現実です。

だからこそ消費者がまず興味を持ち、声をあげ、企業に情報の開示を訴えかける努力をしなければなりません。消費者が求めれば企業は対応を余儀なくされますので、社会全体が動くきっかけになります

洋服を選ぶときに何を考えれば良いの?

皆さんは洋服を購入するとき、何を判断基準に買い物をしますか? 「洋服を購入するときに一度立ち止まって考えよう!」と言ってきましたが、ではどんな判断基準を持って洋服を買うのがベストなのでしょうか。
議論で出た答えは、

  • 本当に必要なものなのか
  • 長く着ることができるのか
  • 代わりになるものはないか(より環境負荷がない買い物はできないか)

というものでした。

そこで学生からこんな発言がありました。
「私はコスパを考えて洋服を購入します。」

すかさず鎌田さんが、「今の時代、コスパの良い買い物をするって賢い消費者像のように言われていますが、本当にそうなのか問いかけたいです」。
できるだけ安くで良いのか?企業が求めているような顧客像になっていないか?
消費者が企業を選ぶ立場にならないと、社会は変えていけない
とおっしゃっていました。
そういった消費者と企業のやりとりをエシカルコミュニケーションというそうで、エシカルコミュニケーションができるようになることがまずは重要、そのためには小さな声でもいいからあげて企業を動かすことが大事だとおっしゃっていました。

1年間でどれくらい洋服を手放しているの?

「1年間でどれくらい洋服を手放したのか」四国大学の生徒300人にアンケートをとったところ、66%の人が、1着〜5着手放していという結果になり、
「手放し方法」について聞くと、

  • リユース…52%
  • 資源のゴミ(リサイクル)…12%
  • ゴミ…36%
「1年間でそれくらい洋服を手放したのか」に対するアンケート結果
「1年間でそれくらい洋服を手放したのか」に対するアンケート結果

という、やはり半分がゴミになってしまっているという結果になったそうです。

ゴミとして捨ててしまう原因の一つに、「手間がかからないから」ということがあります。自治体によって洋服の受け皿が異なり、資源ゴミだったり、古着の回収ボックがあったりとまちまちなのも一つの原因だと、日々ゴミと向き合っている大塚さんから上がりました。

対策として

  • 洋服が回収できるボックスの拡充
  • 自治体の着なくなった洋服の受け皿を統一する
  • サスティナブルな知識を社会全体で身につける

の3つが上がりました。 まずは個人の意識を変え、ゴミに対する共通の認識を持ち、自治体の意識を変えることによって「当たり前を変える」ことが大事だということです。
「生産(企業)」「社会」「消費者」の三軸で「捨てるという選択肢を無していく」ことが重要なのです。

「生産(企業)」「社会」「消費者」の三軸
「生産(企業)」「社会」「消費者」の三軸

大量生産・大量廃棄を完全になくすにはどうすればいいの?

現代のサイクルでは大量生産・大量廃棄から逃れることはできません。
「全ての企業が受注生産にすれば良いのでは?」という意見が出ましたが、企業側はお客さんがその商品を待てずに他のお店に行ってしまうのではないか、という心配がありなかなか浸透しないのも原因です。

ある外国のブランドの例が上がりました。
そのブランドは大量生産・大量廃棄を脱却するべく、下記の対策をしているそうです。

  • 受注生産で購入する方…定価(通常の値段)で販売
  • 今すぐ購入したい方…定価の30%上乗せで販売

私は上記の取り組みを聞いて、受注生産が安いのであれば、「別に定価でいいや」と思ってしまう可能性がありますが、定価より高くなってしまうなら「手元にくるのが遅くなってしまうが少し我慢しよう」という気になりそうだな、と感じました。

パネルディスカッションでは、 企業側が消費者に「大量生産・大量廃棄を促す」そんな努力ができていけば良いな、という話でまとまりました。

個人個人の意識を変えて企業を動かし、社会全体を変えていこう

正直に言ってしまうと私はサスティナブルな行動を起こしていませんでした。
近年テレビやネットなどで「SDGs」が注目されてきましたが、どこか遠い国で起きている問題な気がして、自分ごととして考えてこなかったと思います。また、そういったことに配慮されている商品は何せ値段が高い。そこが引っ掛かりなかなか手が出せないままでいました。

しかしセミナーに参加して、身近な環境問題、外国の自分と同じ年代の女性が虐げられている労働問題などを改めて知ったとき、このままでは今の地球にも未来の地球にも良い行いをしていないと反省しました。
何か自分でできないか考えたときに、一番すぐ実行できるのが、購入するときに「本当に必要なのか」「なぜ必要なのか」「購入したときにどんな問題が生じるのか(環境問題や社会問題)」を考えて慎重に買い物し、無駄な買い物を減らすことに尽きると思いました。そうすれば大量に買うこともないし、ゴミを増やすこともない。まずは個人個人の意識を変えることが重要だと感じました。

この記事を読んで、少しでもサスティナブルファッションに興味を持ち、意識し、行動に移していただけると嬉しいです。

東京都墨田区でサスティナブルな取り組みをしているメリヤス・縫製工場のご紹介

当社は東京都墨田区でデジタルマーケティング支援を行っております。墨田区の本所地域は、江戸時代からメリヤス産業が誕生しており、明治時代には、墨田区にメリヤス工場が次々と建設されました。現在に至るまでその歴史が引き継がれ、墨田区はアパレル産業の盛んな地域です。
そこで、墨田区のメリヤス・縫製工場のサスティナブルな取り組みをご紹介します。

株式会社和興 WASHI-TECH

地球環境への負荷が少ないサスティナブル素材でうえ、天然由来の機能性を 多く持つ和紙に着目し、和紙100%にこだわったニットの開発をされています。地球環境に優しいだけでなく、<優れた調湿性のほか、抗菌作用や消臭作用、UVカット効果確認されているようです。現在、「WASHI-TECH」ブランドとして、Tシャツマスクマスクフィルターを扱われています。

WASHI-TECH: 和紙100%マスクフィルター
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【参考文献】

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2023/7/21 更新
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