日本語における,(カンマ)と.(ピリオド)の扱いとは?
こんにちは!ヨニシです。
先日公開した「24卒デザイナーの備忘録:句読点の打ち方」を見た母親に、「句読点の話をしている中で,(カンマ)を使うのはどうなんだ」と指摘されて、「何気なく使っていたけど、たしかにな……」と思わされたので、今回は「日本語におけるカンマとピリオド」について調べてまとめてみました!
日本語の句読点の歴史
そもそも、現代日本語の句読点が定着し始めたのは明治20〜30年頃のことであって、カンマ・ピリオドと比べてその歴史はかなり浅いです。
日本語の句読法の基準化の試みとして、明治39年(1906)に文部省大臣官房課草案の「句読法案」というものがあり、それを元に昭和21年(1946)に文部省教科書局調査課国語調査室が『くぎり符号の使ひ方〔句読法〕案』を発表したのが現在の句読法の元になっています。
それに比べて、カンマ・ピリオドは16〜17世紀には聖書の翻訳に用いられ、江戸時代に聖書と共に日本に入ってきたとされています。
昔からの日本語には句読点の概念がなく、明治以降に欧米の文書を真似て句読点が打たれるようになったというのが実際の所のようです。
文部省の基準
さて、そんなこんなで文部省が日本語の正書法の確立を任されるわけですが、戦後、文部省はそれまで文語体縦書きだった公用文の大改革に着手しました。
公用文が一般の文書のお手本になるとふんだわけですね。
昭和25年(1950)に出された「国語の書き表し方」の付録として、「横書きの場合の書き方」が示されています。
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「点を用いてはダメ」とはっきり書いてありますね。
この法案は現在に至るまで横書きの表記について修正されていません。
驚きの新事実ですね。
たしかに、国が出している教科書などは「コンマ・まる」の表記だったような気がします。
昔の作文は縦書きでしたが、近年、Webサイトなどで横書きを用いることがとても増えてきたので、それに合わせて句読法も変わっていったのでしょうか。
正しい表記は?
とはいえ、公用文でも「コンマ・まる」を守っているとはとても言い難く、実際のところは「書く人によってまちまち」が現実だと思います。
僕はもともと理系の人間だったので、理科系の文書の「コンマ・ピリオド」の組み合わせが読みやすく感じてしまうのですが、実際のところの使い分けはいったいどうなっているのでしょうか?
左横書きではまる(句点)。てん(読点)、が次のようになる
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「国語表記辞典」では以上のようになっています。
「どれも正解だよ。」といった感じですね。「カンマ・まる」は最も一般的ではない気がしますが。
話し言葉では「てん・まる」が適切でしょうか。
理科系の文書では、数字の表記が欧米に則ってしまっているので「コンマ・ピリオド」を使うというのもあるかもしれませんね。 10、000とか見るの嫌ですし。
「まる」を使うわけ
横書きで「コンマ」が使えるということはわかりましたが、なぜ「ピリオド」ではなく「まる」が公用文で使われているのでしょうか。
(横書きでは)テンの代わりにコンマ,マルの代わりにピリオドと考えたいところですが,このことについては色々と意見があります. まず,同じポイントの活字ではピリオドが見にくい,また,ナカテンと間違いやすい……というのが,それらの意見の集約で,したがってヨコ書きでも,マルを使っているのが実際です.私自身も,ヨコ書きの場合にはマルを使います.この方が視覚的に「休止」が明瞭だ,と思うからです. |
ピリオドを句点とすると、「見にくい」ことと、「・と間違える恐れがある」ということから、句点はまるがいいと主張しているのですね。
出版社の基準
ここまで、国の基準を元に考えてきましたが、僕ら一般人に更に近い出版社の基準はどうなっているのでしょうか。
結論を先に言えば、バラバラです。
講談社がもともと社内の資料として作成していた以下に端的に記されています。
縦書きには「。」「、」を使います. 横書きには「。」「、」,または「。」「,」か「.」「,」のいずれでもかまいませんが,それぞれの雑誌,書籍で統一します. |
発行する雑誌や本の性格によって使い分けろということですね。
まとめ
今回調べてわかったことは、
そもそも句読点は文章を読みやすくする「飾り」であり、文章の内容に応じて柔軟に使い分けても構わないし、むしろそうするべき。だということでした。
こういった間違いをつつきやすい概念はたまに話に上がりますが、気にしすぎず頭の片隅に置いておき、気になったら少し調べる程度がちょうどいいのかもしれません。
これからの季節、またいっそう蒸し暑くなって参りますので、あまり思索に熱中しすぎず、頭の中もクルービズで過ごしていきましょう。