【2021年IT導入補助金】採択のポイントと申請書の書き方
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2021.04.092021版に更新しました。
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2020.10.02「2018年に、事務局がIT導入支援事業者向けに公開した不採択事由からヒントを得る」を追記しました。
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2020.10.01「IT導入補助金2020 実践的よくある質問」を追記しました。
弊社、2021年IT導入補助金の支援事業者として登録しており2018年から申請してきた中で、日々収集している補助事業者向けの採択のポイントをまとめました。申請書の書き方としてご参考ください。
下記は2021年4月9日の時点の情報です。随時更新します。
※【2021年IT導入補助金】ホームページ制作に利用する際のポイントについてこちらでまとめております。
※実際の採択率はこちらについてこちらでまとめております。
最重要度の採択のポイント合計5件
1.基本情報入力>事業内容【必須】
最大255文字入力可能。
IT導入補助金の書類において数少ないフリー記入でアピールできる箇所です。
ここでは、事業内容を紹介しながら強みを記載し、ITにおいて何が弱みか不足しているかを記載し、その弱みを補う為にITツールを入れる理由、更にプラスアルファで期待される効果を記載する必要があります。
低感染リスク型ビジネス枠(
特別枠)C型※30万〜450万 であればコロナの影響で非対面ビジネスへの転換とテレワークでも活用できる旨を記載する必要があります。
決して、「飲食店の経営」など1行でさらりとした文章はNGです。
強み
+
弱み
+
弱みをカバーするためのITツール
+
その効果
+
非対面ビジネスへの転換とテレワーク環境の整備の内容を入れる
2.基本情報入力>事業>強み・弱み【必須項目・複数選択可】
先程記載した、「事業内容」と矛盾がないようにし、強み、弱みの「その他」にチェックを入れ「事業内容」で書ききれていないことなど、しっかりアピールしてください。255文字以内。
強み・弱みの「その他」にチェックを入れ、「事業内容」と矛盾しないよう
フリー記入でしっかりアピール
3.基本情報入力>経営状況についての入力>5.ビジネスプロセスの改善に向けて>「このたびIT導入で、社内での実現・強化したいデータ連携について、該当するところにチェックしてください」【複数選択可】
IT導入補助金2021公募要領低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)P26の審査項目において
内部プロセスの高度化、効率化及びデータ連携による社内横断的なデータ共有・分析等を取り入れ、継続的な生産性向上と事業の成長に取り組んでいるか 等
とあります。
上記を踏まえ、フリー記入において想定されるその他データ連携がないかを記載する。例えば顧客管理システムであればホームページのアクセス分析データとの連携などで営業の効率化が図れるなどを記載する。
生産性向上が図れるデータ連携をすることが加点項目と考えられます
4.IT導入支援事業者側が入力する「労働生産性指標」
申請要件では、労働生産性の伸び率が1年後3%以上、3年後9%以上をクリアする必要があります。注意点として、条件クリアしていなくても次に進めてしまう点です。
支援事業者に任せきりにせず
- 事業者側もしっかり確認し整合性があるか確認すること
- 給与支給総額の引上げ計画と一緒に事前に作る
- 導入する「ITツールとの整合性」を考えた数値計画にする
- 売上が上がるのか
- 原価が下がるのか
- 労働時間が減るのか
- 人減らしの計画はNG
導入するITツールとの整合性を踏まえ
1年後、3%
2年後、6%
3年後、9%
4年後、12%
としておいたほうが無難である。
5.計画数値入力>事業計画期間(2021年4月〜2025年3月まで)における給与総支給総額について
給与支給総額の成長率について、労働生産性とは異なり審査項目に入っておりませんが、審査要件には書かれている為、数値計画の審査項目と考えるべきです。
3年目の%が1.5%以上になっていれば良いとのことですが、4年間2%以上になるようにしておいた方が無難と思われます。尚且、地域最低賃金+30円とすること。
参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
給与総支給総額が労働生産性で算出された粗利より高いなど労働生産性の数値計画と矛盾がないようにするべきです。
労働生産性の数字を鑑み、4年間2%以上で最低賃金プラス30円とする。
また賃上げについて申請種別によって、未達の場合返還義務があり、注意が必要です。
【C類型における賃上目標に対しての賃上げ未達の場合の返還義務の有無】
類型 | 補助金申請額 | 補助率 | 賃上目標 | 未達の場合返還義務 |
---|---|---|---|---|
C類型-1 | 30-300万未満 | 3分の2 | 加点項目 | 無 |
C類型-2 | 300万-450万 | 必須項目 | 有 |
【重要度「中」】の採択のポイント合計4件
- 少しでも早い申請回での申請
- 労働生産性の数値計画と賃上げ計画で矛盾がないか
- 黒字の納税証明書 ※今更どうこうできるわけではない
2018年に事務局がIT導入支援事業者向けに公開した不採択事由からヒントを得る
申請日と設立年月日の不整合
個人事業主の申請において、申請日時点で設立年月日が未来日である
ITツールの機能の重複
昨年度のIT導入補助事業で導入したITツールとの機能の重複
※2020年に関しては条件次第でOK、納品から1年以上経過していればOK
申請内容の不備【不完全な住所入力】
申請内容に不備項目がありますと原則として不採択になる
個人事業主が「現住所」に「事務所所在地住所」を入力しているケースがあるがそれは絶対にダメ
申請内容の不備【履歴事項全部証明書の添付間違い】
他社の登記簿(複数社経営している方?)、期限切れ(申請から3ヶ月以内)、登記簿以外の書類、全部事項ではなく現事項、ページ不足等
※ちなみに写真でのアップロードではなく、スキャンPDFを推奨(写真だと読み取れない可能性があるため、コンビニに行ってでもPDFで提出してください)
申請内容の不備【公的身分証明書・事業実在証明書】
個人事業主の身分証明書は運転免許証or住民票(3ヶ月以内)
経営診断ツールの内容希薄、生産性向上が見込めない
事業内容はしっかり書く
経営状況のアンケートを適当に済ませない(導入したいITツールと自社の状況を鑑みて頭を使って選択しているか、その他(自由記載欄)も使っているかなど確認する(今一度審査項目の確認を!)
本補助事業の目的を資さない
「実態が不明、怪しい事業者と判断された」(審査側の気持ちを考えよう!)
- 基本情報や履歴事項全部証明書に書かれている事業目的がイマイチわからない(一致していない)
- 導入したいITツールを活用して何をやりたいのかが、わからない
- 年商や粗利の実績に対して、導入するITツールの金額が高すぎる
やってはいけないこと
- 形式要件のケアレスミス(発行3ヶ月以上の登記簿謄本や納税証明書の間違いなど)
- 基本情報入力>担当情報>役員について
登記簿謄本に記載されている役員全員を記載する - 数値計画が要件を満たしていない
※注意点として、入力時、要件満たしてなくても登録できてしまう- 労働生産性:1年後3%以上、3年後9%以上をクリア
- 賃上げ計画:年率1.5%(当社の推奨値は2%)
- 数値計画で人を削減する計画
- 最低賃金が地域別最低賃金を下回っている
参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」 - 経営状況のチェック内容で事業内容と整合性が合っていない、ネガティブな選択をしている
IT導入補助金2021 実践的よくある質問
実際申請できる要件は?
「交付申請時点において、日本国において登録されている個人又は法人であり、日本国内で事業を行なっていること。」と書いてありますが、実際は個人も法人も最低一回の納税をしていること(=ごく最近に創立(設立)した場合は申請できないということ)
給与支給総額の増加率は結局どうすればいいのか
計画3年目が1.5%以上(類型の据え置きの場合は計画4年目が1.5%以上ならばOK!ただし計画値なので綺麗に1.5%以上を勧めています
まとめ
IT導入補助金は、事業者とIT導入支援事業者で交互に作業を進めることになっているが、「労働生産性」や「賃上げ計画」はどちらかに任せるのではなく、双方協力体制で作る必要があります。導入するITツールがどのような効果が見込めるのか(売上が上がるのか、原価が下がるのか、労働時間が減らせるのか)を考え、申請することが重要です。
- 監修者
岩永 武大
1977年生まれ。中小企業診断士、経営学修士。
株式会社 知好楽ネットワーク代表取締役。
プログラマーを経て、中小企業向け会計・給与・販売管理等の業務パッケージソフトメーカーに10年勤務。営業を5年経験後、新規事業の立ち上げに参画し、企画・営業・サポート業務の立ち上げを果たす。
同時期に東洋大学大学院にて経営学修士を取得。(修士論文は、「中堅企業の多角化戦略の成功要因 — 新規開発戦略における動向と課題 —」)
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