【2020年度IT導入補助金】気になる採択率は?

先日、A類型・B類型の2次公募分とC類型1次公募分の採択が発表されました。採択された事業者様と残念ながら不採択になってしまった事業者様がいらっしゃると思いますが、IT導入補助金は採択率を公表していません。ですが、経済省サービス政策課に伺った話と、分析結果を元に採択率を予想いたしましたので、参考にしていただければと思います。皆様のお役に立てれば幸いです。
目次
IT導入補助金の倍率(採択率・交付率)について
IT導入補助金は、ものづくり補助金と小規模事業者補助金と異なり、採択率が公表されていません。
しかし、経済省サービス政策課に電話をし、大体の倍率を教えていただくことができました。その結果を皆さんに共有させていただきたいと思います。
【2020年度】IT導入補助金の倍率(採択率・交付率)
2020年度のIT導入補助金の採択率の倍率は以下の回答でした。
臨時対応(1次公募) | 約2倍 |
2次公募(A類型・B類型)&1次公募(C類型) | 約1.9倍(A/B/Cの内訳は不明) |
3次公募(A類型・B類型)&2次公募(C類型) | 約2倍(A/B/Cの内訳は不明) |
約2倍の採択率です。
採択されなかった事業者様が多かったのではないでしょうか。
過去3年分のIT導入補助金の倍率(採択率・交付率)について
ちなみに過去3年間のIT導入補助金採択率の倍率は以下の回答でした。
2017年 | 約2倍 |
2018年 | ほぼ1倍 |
2019年 | 約3倍 |
2020年度と合わせて見ても、意外と採択されていない事業者様が多いことがわかります。
【2020年度】IT導入補助金の採択者数
採択者数は以下の通りです。(株式会社知 好楽ネットワーク調べ)
臨時対応(1次公募) | 2,464件(A類型のみ) |
2次公募(A類型・B類型)&1次公募(C類型) | A類型:208件 B類型:5件 C類型:543件 |
3次公募(A類型・B類型)&2次公募(C類型) | A類型:418件 B類型:21件 C類型:1,326件 |
総予算に関して
今回のIT導入補助金の予算額に関してお話しします。
中小企業生産性革命推進事業の2020年度補正予算(2020年1月30日成立)は3,600億円計上されております。こちらの予算は、ものづくり補助金・小規模事業者補助金・IT導入補助金の3つの補助金を「複数年」に渡って、流動的に使用するためのものです。
「複数年」については、巷では3年と言われていますが、3年と決まっているわけではありません。複数年を仮に3年とした場合でも、3600億円÷3で、2020年度が1,200億円と決まっているわけでもなく、3つの補助金の割合が決まっているわけでもありません。
次に、2020年度1次補正(2020年4月30日成立)で700億円が計上され、2020年度2次補正(2020年6月12日成立)で1,000億円計上されています。こちらは全て2020年度のみに使われる予算となります(IT導入補助金でいうと特別枠など)。また、こちらの予算(700億円+1,000億円=1,700億円)も、ものづくり補助金・小規模事業者補助金・IT導入補助金の3つの補助金で分け合うことになります。こちらも3つの補助金の割合が決まっているわけでもありません。
参考:中小企業:中小企業対策関連予算
【2020年度】IT導入補助金交付決定分析
上記の内容をまとめると以下の通りになります。(株式会社 知好楽ネットワーク調べ)
IT導入補助金2020 交付決定分析 2020年7月16日時点下記の図は横にフリックして全体を見ることができます。
平均金額(万円)※1 | 臨時対応 | 5月29日締切 6月30日交付 決定 |
6月12日締切 7月15日交付 決定 |
|
---|---|---|---|---|
A類型 | 90 | 2,464 | 208 | 418 |
B類型 | 300 | 0 | 5 | 21 |
C類型 | 300 | 0 | 543 | 1,326 |
件数合計 | – | 2,464 | 756 | 1,765 |
予算消化予測金額(万円)※2 | – | 221,760 | 183,120 | 441,720 |
採択率(倍率)※3 | 約2倍 | 約1.9倍※4 | 約2倍※4 | |
不採択理由 | 形式要件不足+審査項目の外し | 形式要件不足+審査項目の外し |
- ※1 A,B,Cともに真ん中の金額
- ※2 交付決定件数に対して※1をかけた金額
- ※3 倍率は、経済省サービス政策課に電話してしてヒアリングした結果
- ※4 A,B,Cそれぞれの倍率は教えてもらえませんでした。
上記で示したように採択率は約2倍。今後も2倍の採択率になると考えられ、非常に厳しい傾向にあります。
しかし今後も公募はあるので、諦めずに申請していきましょう。
採択されない主な理由は?
では、1/2の事業者様はなぜ採択されないのでしょうか。
それは、形式要件ミスです。
何より形式要件をきちんとミスなく記載する。また、審査項目を外すことなく、しっかり公募要領に合わせて、採択基準に則したものを記入することが大事です。
しっかりとミスの無いよう、申請しましょう。
形式要件をしっかり記載することは最低限必要ですが、採択されるポイントを抑えることも重要です。平均以上の申請書類を提出しましょう。
採択のポイントをまとめた記事はこちらから
まとめ
2020年度の採択率は約2倍となっておりますが、まだ公募していますし、新型コロナウィルス対策で今後どうなるかわかりません。今回残念ながら不採択になってしまった事業者様も諦めずに再度申請することをお勧めします。

- 監修者
岩永 武大
1977年生まれ。中小企業診断士、経営学修士。
株式会社 知好楽ネットワーク代表取締役。
プログラマーを経て、中小企業向け会計・給与・販売管理等の業務パッケージソフトメーカーに10年勤務。営業を5年経験後、新規事業の立ち上げに参画し、企画・営業・サポート業務の立ち上げを果たす。
同時期に東洋大学大学院にて経営学修士を取得。(修士論文は、「中堅企業の多角化戦略の成功要因 — 新規開発戦略における動向と課題 —」)
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