中小企業こそプレスリリースを配信しましょう!得られる効果や配信のコツをご紹介します。
プレスリリースとは、企業や団体が、新製品や新サービス、または経営に関わる重要人事やオフィスの移転や新設といった情報をニュース素材としてメディアに渡す文書のことです。
傾向として中小企業の方はプレスリリースの配信に消極的な場合が多く、その理由は「自社のような小さな企業のネタがニュース素材になるはずはない」と思われているからのようです。
確かにインターネット上でのプレスリリース配信が普及するまではメディアの数も少なく、広報力のある大企業がメディアに採用される確率が圧倒的に高い時代がありました。
昨今は話題性、商品力、サービス力があれば企業規模にかかわらずメディアに掲載されます。
数人規模の企業でも、時流にのった価値ある商品を新発売した際に、プレスリリースを発信し、LINEニュースやYahooニュースといった大きなメディアに採りあげられたという例も珍しくありません。
広告に潤沢な予算をかけられない中小企業にとって、プレスリリース配信は自社商品やサービスを企業や消費者に知らせる重要なツールなのです。
自社サイトの新着情報欄に何かを掲載しようとしている担当者の方は、その内容がプレスリリースで発信する価値があるかもしれない、という視点を持つようにしましょう。
プレスリリース配信にかかる費用は、1本あたり3万円〜7万円が相場といわれています。
1プレスリリース・ニュースリリースとは
プレスリリースなのか、ニュースリリースなのか、定義が良く分からないという方も多いようですが、実際にも明確な定義の分け方はないようです。
発信先でどちらかというと〇〇〇、という程度と捉えてください。
- プレスリリース:報道関係者(メディア、プレス)向け
- ニュースリリース:株主あるいは一般の人向け
近年は同一内容でメディアと一般両方向けに発信するのが一般的で、その場合はニュースリリースと呼ぶことが多いようです。
ニュースレターというものもありますが、これはプレスリリース・ニュースリリースとは全く異なるものです。
ニュースレターは特定の会員やファンに向けた定期刊行物を指します。
2プレスリリースの配信目的と期待できる効果
プレスリリースの配信は以下のような目的を達成することが期待できます。
商品やサービス及び自社の認知度を上げる
メディアという第三者が発信するプレスリリースに自社名、商品、サービスが紹介されるので、情報の公共性が高いという評価を得られやすくなります。
これは自社発信で行う広告とは大きく異なります。
インターネット上で企業名や商品名を検索した際に自社サイトだけでなくメディアの記事も検索結果として出てくるので、検索者にとって信頼度が高い情報として認知されます。
商品にこめた「自分たちの思い」を発信できる
機能面だけでなく、商品誕生秘話や担当者の情熱など、商品やサービスに込めた思いやどんな人に使ってほしいかなど、自社サイトや広告では手前みそになりがちなストーリーや秘話も、第三者のメディアが配信することで読者側も受け入れやすくなります。近年はむしろそのような背景の情報が付加価値にもなり得ます。
協業や支援のきっかけづくりになる
プレスリリースの読み手は販売先の企業や消費者だけとは限りません。協業先を探している企業がそのリリース内容を読んで企業精神や商品コンセプトに共感して、協業や支援を申し出てくれる可能性もあります。
3プレスリリースの活用方法
プレスリリースを配信するのがゴールと捉えて、配信後はそのままにしておくというのは企業にとってもったいない行動です。
自社商品やサービスが公共性のあるメディアの記事に掲載されたのですから、営業素材として積極的に活用しましょう。
コーポレートサイトに新着情報・ニュースとして掲載する
自社サイトの最新情報/お知らせ/の欄に掲載します。
カテゴリを「お知らせ」「ニュースリリース」などで設定し、アーカイブで検索できるようにもしておくと良いでしょう。
自社SNSやメルマガで発信する
〇〇のプレスリリースを配信しました。という内容でSNSやメルマガを発信し、リンクを貼っておきます。
営業資料に掲載する
新商品や新サービスの営業資料に、「プレスリリースで配信」「〇〇のメディアに掲載」という内容を書きます。
プレスリリース記事の反響がどうだったか、記事の補足事項もトークのネタにして商談を盛り上げます。
人材採用に活用する
プレスリリースは営業活動だけでなく人材の採用にも活用ができます。
記事を見て会社に興味をもち、採用に関する問い合わせが来ることもあります。
自社の採用ページや掲載中の求人サイトにはリンクを貼ったり、リリース内容をそのまま載せるのも良いでしょう。
裏を返すと、新しい分野の人材を募集したり、業務拡大につき多くの人材募集をするなどの、採用に関するトピックがある時にもプレスリリース配信は効果的ということです。
社員やステークホルダーへ通知する
プレスリリース配信は外部の人向けだけでなく、社内やステークホルダーにも告知することを忘れずに。自社の記事がメディアに掲載されるのは、社員やステークホルダーにとって大きなモチベーションの向上に繋がります。
4プレスリリース配信サービスの仕組み
プレスリリース配信サービスとは
配信サービスのサイトに配信原稿を掲載し、そのサイトに登録しているメディアが掲載原稿を閲覧できるサービスです。
配信サービスのメリット
かつてのプレスリリース掲載活動は、リリース記事を印刷し、メディアにFAXまたは郵送をしていました。
自社のニュースを優先的に採りあげてもらうために1本1本電話をして念を押す、または直接持参するなどの個別活動をしていました。
近年はメディアも一般消費者も同じ記事を閲覧できるプレスリリース配信サービスを利用するのが主流です。
主な配信サービス会社
プレスリリース配信サービス会社は数多くありますが、中でも利用者数が多く人気の高い4社を紹介します。
各Webサイトに記載されている特徴をピックアップしました(2023年7月現在)。
特徴 | 料金 | |
---|---|---|
PR TIMES | ・配信件数のシェアNo.1 31,000件/月 ・利用企業数 累計7万9千社超、上場企業利用率53%超 ・月間7,500万PV超 ・メディア数 230媒体超 月間1億PVの巨大メディア含む |
・従量課金:30,000円/本 ・定額プラン:70,000円/月 |
Value Press | ・利用者数No.1 ・中小企業の利用が多い ・メディア件数11,000 ・配信後に、メディアに対する電話とメールによるフォローアップサービスあり。 |
・従量課金:30,000円/本 ・定額制継続課金 スタンダード:35,000円/月 ビジネス:70,000円/月 |
アットプレス | ・利用企業数22,000社 ・メディア件数10,000 ・Webメディアの他に新聞・雑誌・通信社・TV・ラジオ・フリーペーパーまで、幅広いジャンルのメディアと連携 Web配信の他にメディアへのFAX配信も対応可能 |
・ライトプラン:30,000円/本 ・初回限定3回チケット: 78,000円 |
共同通信オンワイヤー | ・1回のリリースで配信する平均メディア数は1,000件以上 ・海外メディアへの配信可能 全世界への配信媒体が35,000媒体 ・77%のプレスリリースが記事化される高掲載率 |
・スポット会員:85,000円/本 ・レギュラー会員: 年間5回 204,600円〜 |
※料金プランは代表的なものだけをご紹介しています。
その他の料金バリエーションやサービス詳細は各社の公式サイトからご確認ください。
5.プレスリリースの書き方のコツ
メディア掲載が期待できるプレスリリースですが、記者の目にとまるような書き方にはコツがありますので、しっかり抑えて世間の注目を集めて多くのメディアに転載されることを狙いましょう。
話題性のある商品・サービスであることを強調する
「環境に配慮した」「次世代へつなぐ」「完全無添加」など、世間で注目されている話題と結びつけるとよいでしょう。
希少性を明確に伝える
「業界初」「日本一」「関東初」「最も~~」「季節限定」「〇〇個限定」といった希少性は記事の価値があがります。効果的な表現を使うとよいでしょう。
但し裏付けがない場合は記載は虚偽となりますので使用は出来ません。
期待値のある商品やサービス、世間から必要とされる価値あるもの
世間のどういったニーズに応えるのか、何の社会問題を解決するのか、何の価値があるのかが分かる表現を心がけましょう。
数字を効果的に使う
世間の評価についてはNo.1、シェア〇%、などの分かりやすい数字を使うこともおすすめです。但し、その根拠は〇〇調査、〇年〇月時点、など明確にしましょう。
中立性のある表現を心がける
自社の商品やサービスを推したいばかりに、宣伝文句だけを並べてばかりでいては、記者の目にはとまりません。
マクロとミクロの両方の視点で自社商品やサービスの強みを評価して、中立性を保ちながら魅力を伝えるようにしましょう。
6.プレスリリースの構成
元々プレスリリースはメディア向けに企業が発信する公式文書なので、ヘッダーには宛先、日付、発信者、文書の主旨を示すタイトルを入れるものが標準書式です。
ここに紹介するのは、Webのプレスリリース配信サービスを使った場合の抑えておきたい基本要素です。
※各社それぞれ規定の入力フォームがありますのでしっかり把握してから着手することをおすすめします。
メディアにはそのままの体裁と文章で転載されるので、カジュアルな表現は避け丁寧な文書で作成することが重要です。
文字数 | 書き方のコツ | |
---|---|---|
タイトル | 30文字程度 | その記事に魅力があるかどうかがタイトルで判断されるくらい重要な要素。 サムネイルで表示される文字数も意識してタイトルをつける。 |
リード文 | 300文字以下 | 5W2Hを抑えた表現を心がける。 サブタイトルと2部構成にする場合は、以下のうち太字の項目をサブタイトルに入れる。 Who:誰が ※企業名・所在地・代表者名 What:何を ※商品・サービス名 機能も記載 Where:どこで ※リアルな場合は場所を明記・オンラインの場合はそれが分かるように When:いつ ※開始日、期限など Why:なぜ・何のため ・誰のため ※そのた背景や目的を明記 How:どのように ※競合との違いや特徴など How much:どのくらい(金額) |
本文 | 無制限 | 記者が1度読めば概要が理解できるような分かりやすい構成と文章を心がける ・結・起・承・転で結論から書く ・見出し・小見出しを効果的に使う ・商品・サービスの概要は本文の中に入れず、箇条書きにして視覚的に理解しやすい表現をする ・画像や動画も可能な限り掲載してイメージが沸きやすいようにする。キャプションも入れる ・専門用語を使う際は注釈を使い、読み手が理解できるようにする |
問い合わせ先 | 無制限 | ・会社名 ・本社所在地 記事の主旨に合わせて支店や工場なども記載 ・問い合わせ電話番号 ・メールアドレス ・会社URL ・広報窓口担当者名 |
7.その他に抑えておきたいこと
配信のベストタイミングは火曜日の10時から15時
日々大量に配信されるプレスリリースですが、メディアに採りあげられやすい日時には傾向があるようです。
記者は平日勤務・土日休みの人が多く、土日配信のリリースを見てもらえる確率は低いでしょう。
また、月曜と金曜の休日前後は休日のニュース整理などで多忙な可能性が高いので、リリース記事の確認作業は難しいと考えられます。
実際にその1週間のうち月曜日を除く一番早い日、つまり火曜日にプレスリリースの配信をする企業が多いといわれています。
配信時間は、企業のコアタイムである10時から15時が一番良いといわれています。
記者の行動をイメージしてみましょう。
その日の夕方から夜にかけて届いた記事をチェックし、翌日以降に取材申し入れや転載作業をし、週末にかけて認知活動をしていく。。。と考えると、やはり火曜日の10時~15時の間に配信するのがベストのようです。
カテゴリは適切なものを設定しておく
プレス配信サービスにはそれぞれが設定した「カテゴリ」や「種類」の選択をすることができます。
プレスリリースを記者がチェックする際に、カテゴリ別に検索する事も多いので、そのカテゴリから漏れないようにしっかりとカテゴリの選択をしておくことも、記者の目にとまるためには重要です。
まとめ
プレスリリース配信は、企業の商品・サービス、または人事情報を低価格で世の中に伝えることが出来る非常に有効なサービスで、特に中小企業の認知活動の方法としてはとてもおすすめです。
制作にはある程度のノウハウが必要ですが、プレスリリース配信サービス会社で制作サポートをしてくれるところもあります。
企業が大事に育てた商品やサービスを世に出すときは、ぜひ活用いただきたいと思います。